イソフラボンとは
イソフラボンは大豆の胚軸に含まれるポリフェノールの一種です。 その中には「ゲニスチン」や「ダイジン」、「グリシチン」など、12の成分があり、糖が周りにくっついた「配糖体」と、糖と結合していない「非配糖体」の2種類に大きく分類することができます。
大豆中には、0.1~0.3%のイソフラボンが含まれており、そのうちの半分を占めるのがゲニスチンとダイジンです。 化学構造が女性ホルモン「エストロゲン」に似ているため、体内でエストロゲンと同じ働きをします。 そのため、エストロゲン分泌量が減少した時、イソフラボンの摂取によりそれを補うことができます。
さらに、イソフラボンはエストロゲンに比べて1000分の一から10000分の一の活性のため、エストロゲンが過剰分泌されたときは、体内でエストロゲンの作用を抑えることもできます。 この作用を「抗エストロゲン様作用」と言います。
イソフラボンの摂取によりもたらされる益の一つに、PMSの軽減を挙げることができます。 PMSとは月経前症候群のことで、主な原因は、女性ホルモンのバランスの乱れです。
月経前に女性ホルモンの分泌量は大きく減少します。 「プロゲステロン」も女性ホルモンの一つですが、正常な時はこの2つの女性ホルモンが、バランスを保って分泌されています。
月経前になるとこの2つのホルモンの量が急激に変化し、それがPMSとなって体に現れてしまいます。 イソフラボンを毎日適量摂取することによって、この減少の落差を緩やかにし、さらに2つのホルモンのバランスを保つことができるため、PMSを軽減することができます。
イソフラボンには美肌効果もあります。 イソフラボンはポリフェノールの一種なので、抗酸化性に富んでいます。
肌を老化させる原因の一つが、活性酸素の増加です。 活性酸素は、体内に入ってきた細菌類を駆除する働きがあるため、私たちが体の健康を保つために必要不可欠な物質です。 しかし、活性酸素が増えすぎると細胞の酸化が進んでしまい、老化が早まってしまいます。
イソフラボンは抗酸化作用があるため、皮膚における活性酸素の過剰生成を抑制し、アンチエイジング効果をもたらしてくれます。 さらにイソフラボンは、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す働きもあるため、肌の潤いを保ち、若々しい肌を保つことができます。
イソフラボンの摂取は癌予防にも効果があります。 癌の原因となるのは体内で生成される、「チロシンキナーゼ」という酵素です。
細胞の増殖や分裂などに関わる信号の伝達において、重要な役割を果たす物質ですが、チロシンキナーゼが異常に活性化してしまうと、細胞が異常に増殖して癌を誘発してしまいます。
イソフラボンには、チロシンキナーゼの働きを抑制する効果があるため、癌の発症を予防することができます。 癌は増殖・転移するために、自分で血管を合成し、栄養や酸素を供給するための回路をつくります。 イソフラボンには、この血管の合成をブロックし、回路の生成を切断する作用があるため、癌の増殖・転移の予防を行うことができます。
イソフラボンは大豆製品に多く含まれており、味噌や醤油から摂取することができます。 毎日の食事の中で、イソフラボンを適量摂取することにより、病気を予防し体の健康を保ちましょう。